1年単位の変形労働時間制 (京都市 下京区四条烏丸 あおば綜合法務事務所)

京都 下京区四条烏丸 司法書士/行政書士/社会保険労務士 あおば綜合法務事務所

1年単位の変形労働時間制

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1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制とは、1ヵ月を超え1年以内の一定の期間(対象期間)における1週間平均の労働時間が40時間を超えないことを条件に、当該期間内の特定された週又は特定された日に法定労働時間を超えて労働させることができ、その法定労働時間を超えて設定された所定労働時間については時間外労働とはならない制度です。

季節等によって繁閑の差がある業務について、実情に合わせた柔軟な労働時間設定が可能です。

  • 1ヵ月単位と異なり、法定労働時間が44時間となる特例事業であっても、1週間平均の労働時間の限度は40時間となります
  • 時間外労働の判定は、1ヵ月単位の場合と同様です。

労使協定に定める事項

制度の採用にあたっては、次の事項を労使協定によって定め、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

  • 1ヵ月単位と異なり、必ず労使協定の締結を要し、所轄労働基準監督署長へ届け出なければなりません。
  • 労使協定とは、使用者と労働者代表との書面による協定のことです。
    労働者代表とは、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者をいいます。
  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間
  • 対象期間の起算日
  • 特定期間
    • 特定期間とは対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいいます。
  • 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間
  • 労使協定の有効期間

労働日及び労働日ごとの労働時間の特定の特例

この制度では、原則として、あらかじめ、対象期間の全期間について労働日と労働日ごとの労働時間を特定する必要があります。

ただし、対象期間を1ヵ月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、

  • 区分された最初の期間・・労働日と労働日ごとの労働時間を特定する。
  • 最初の期間以外の期間・・各期間ごとの労働日数と総労働時間を定める。

以上のような取り扱いが認められます。

上記2の各期間については、各期間の初日の少なくとも30日前に、労働者代表の同意を得て、書面にて、期間中の労働日と労働日ごとの労働時間を特定しなければなりません。

  • 労働者代表とは、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者をいいます。

労働日数・労働時間等の限度

この制度では、労働日数・労働時間等に様々な限度が設けられています。

労働日数の限度

対象期間が3ヵ月を超える場合、対象期間における労働日数の限度は、1年当たり280日となります。次の計算式により算定します(端数は切り捨てる)。

労働日数の限度

ただし、次の①②のいずれにも該当する場合は、旧協定の対象期間について1年当たりの労働日数から1日を減じた日数又は280日のいずれか少ない日数となります。

  • 旧協定とは、対象期間の初日の前1年以内の日を含む3ヵ月を超える期間を対象期間として定める1年単位の変形労働時間制の労使協定(そのような労使協定が複数ある場合においては直近の労使協定)をいいます。
  • 事業場に旧協定がある。
  • 労使協定において、労働時間を次のいずれかに該当するように定めている。
  • 1日の最長労働時間が、旧協定の1日の最長労働時間又は9時間のいずれか長い時間を超える。
  • 1週間の最長労働時間が、旧協定の1週間の最長労働時間又は48時間のいずれか長い時間を超える。

1日及び1週間の労働時間の限度

1日の労働時間の限度は10時間1週間の労働時間の限度は52時間です。

さらに、対象期間が3ヵ月を超える場合は、次の①②のいずれにも適合しなければなりません。

  • 労働時間が48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下とすること。
  • 対象期間を3ヵ月ごとに区分した各期間(3ヵ月未満の期間が生じたときはその期間とする)において、労働時間が48時間を超える週の初日は3日以下とすること。

なお、積雪地域において一定の業務に従事する者については、上記①②の適用はありません。

そのほか、隔日勤務のタクシー運転の業務に従事する労働者のうち一定のものについては、1日の労働時間の限度は16時間です。

連続労働日数の限度

対象期間における連続労働日数の限度は6日です。

特定期間における連続労働日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数です。

途中採用者等に対する割増賃金の支払い

1年単位の変形労働時間制の適用を受けて労働した期間(以下「実労働期間」といいます。)が対象期間よりも短い労働者(対象期間の途中で退職した者や採用された者、配置転換された者など)であって、実労働期間を平均して1週間当たり40時間を超えて労働したものについては、次の計算式により算定した時間に対する割増賃金を支払わなければなりません。

割増賃金の清算