1年単位の変形労働時間制とは、1ヵ月を超え1年以内の一定の期間(対象期間)における1週間平均の労働時間が40時間を超えないことを条件に、当該期間内の特定された週又は特定された日に法定労働時間を超えて労働させることができ、その法定労働時間を超えて設定された所定労働時間については時間外労働とはならない制度です。
季節等によって繁閑の差がある業務について、実情に合わせた柔軟な労働時間設定が可能です。
制度の採用にあたっては、次の事項を労使協定によって定め、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
この制度では、原則として、あらかじめ、対象期間の全期間について労働日と労働日ごとの労働時間を特定する必要があります。
ただし、対象期間を1ヵ月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、
以上のような取り扱いが認められます。
上記2の各期間については、各期間の初日の少なくとも30日前に、労働者代表の同意を得て、書面にて、期間中の労働日と労働日ごとの労働時間を特定しなければなりません。
この制度では、労働日数・労働時間等に様々な限度が設けられています。
対象期間が3ヵ月を超える場合、対象期間における労働日数の限度は、1年当たり280日となります。次の計算式により算定します(端数は切り捨てる)。
ただし、次の①②のいずれにも該当する場合は、旧協定の対象期間について1年当たりの労働日数から1日を減じた日数又は280日のいずれか少ない日数となります。
1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は52時間です。
さらに、対象期間が3ヵ月を超える場合は、次の①②のいずれにも適合しなければなりません。
なお、積雪地域において一定の業務に従事する者については、上記①②の適用はありません。
そのほか、隔日勤務のタクシー運転の業務に従事する労働者のうち一定のものについては、1日の労働時間の限度は16時間です。
対象期間における連続労働日数の限度は6日です。
特定期間における連続労働日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数です。
1年単位の変形労働時間制の適用を受けて労働した期間(以下「実労働期間」といいます。)が対象期間よりも短い労働者(対象期間の途中で退職した者や採用された者、配置転換された者など)であって、実労働期間を平均して1週間当たり40時間を超えて労働したものについては、次の計算式により算定した時間に対する割増賃金を支払わなければなりません。